前回はドローンに関する法律や規則について、全体的に解説しました。
お伝えしたように、ドローンは大きく分けて
- 航空法
- 航空法以外の法律やルール
という2つの法律や取り決めによって規制されています。
今回は、その航空法についてさらに詳しくわかりやすくお伝えします!
<前回の記事はこちら>
・知らなかったでは通用しない「ドローンの規制」を分かりやすく解説!
目次
航空法とは?
航空法とは、ドローンを含む無人航空機の飛行に関する基本的なルールを定めた法律です。
そもそもこの法律が示す無人航空機とは、「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」と定義されており、いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。
▲上の画像はマルチコプターやラジコン機、農薬散布用ヘリコプターの一例です。
また、マルチコプターやラジコン機等であっても、航空法の規制対象となるのは機体本体の重量とバッテリーの重量の合計が200g以上のものだけとされています。
*2021年12月現在
200g未満のマルチコプターやラジコン機等は、空港周辺や一定の高度以上の飛行について国土交通大臣の許可等を必要とする規定(第134条の3)のみが適用されます。
▼第134条の3についてさらに詳しい情報を知りたい方はこちらの国土交通省の資料をご覧ください。
・国土交通省 第134条の3
航空法の内容についてさらに詳しく解説!
何に対する法律なのかがわかったところで、これからその規制内容についてお伝えいたします。
航空法は無人航空機の飛行に関する基本的なルールを定めた法律で、大きく分けて
• 飛行の禁止空域
• 飛行の方法
の2つを規制する内容になっています。
まずはその飛行の禁止空域について見ていきましょう。
(1)飛行の禁止空域
有人の航空機に衝突するおそれや、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼすおそれが高い空域として、上記画像の空域で無人航空機を飛行させることは、原則として禁止されています。
ここで注意したいのが、自身の私有地であっても、以下の(A)〜(D)の空域に該当する場合には、国土交通大臣の許可を受ける必要があるということです。
自分の土地の上空だからドローンを飛行させることができる、というわけではないんですね。
(A)地表又は水面から 150m 以上の高さの空域
これは150m以上の上空を飛行する航空機の安全を確保するための規制になります。
地表に高低差がある場合は、空域の上限も地表の高低差を反映したものになります。例えば、富士山の山頂では富士山の高さ3,776mに150mを足した標高3,926m以上では飛行させることができない、というわけです。
(B)空港周辺の空域
航空機との衝突を避けるために設定されている空域です。規制空域は、空港を中心にすり鉢状になっており、空港に近いほど低く、空港から離れるほど高く設定されています。
対象となる空港は以下の通りです。
①新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港
②その他空港やヘリポート等
(C)緊急用務空域
緊急用務空域とは、国土交通省、防衛省、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関、その他の関係機関の使用する航空機のうち捜索、救助その他の緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保する必要があるものとして国土交通大臣が指定する空域のことです。
救助活動や緊急用務を国の機関が行なっている場合は小型無人機を飛ばすことができない、ということです。
緊急用務空域は状況によって指定空域が変わるので、飛行させる前に国土交通省のHPやTwitterで確認する必要があります。
・国土交通省HP
・国土交通省航空局 無人航空機 公式Twitter
(D)人口集中地区の上空
平成27年の国勢調査の結果による人口集中地区の上空では、小型無人機の飛行が原則禁止されています。
出典:国土地理院
▲こちらは東京周辺の人口集中地区を表したマップです。赤色で示されている部分が人口集中地区となります
また、自分が飛行させたい場所が人口集中地区に該当するかどうかは、以下の国土地理院の地図が掲載されているHPを通じて確認することができます。
(2)飛行の方法
飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には、以下のルールを守ることが必要です。
①アルコール等を摂取した状態では飛行させないこと
②飛行に必要な準備が整っていることを確認した後に飛行させること
③航空機や他の無人航空機と衝突しそうな場合には、地上に降下等させること
④不必要に騒音を発するなど他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
⑤日中(日出から日没まで)に飛行させること
⑥目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること(目視外飛行の例:FPV(First Person’s View)、モニター監視)
⑦第三者又は第三者の建物、第三者の車両などの物件との間に距離(30m)を保って飛行させること
⑧祭礼、縁日など多数の人が集まる催し場所の上空で飛行させないこと
⑨爆発物など危険物を輸送しないこと
⑩無人航空機から物を投下しないこと参考:(3)飛行禁止空域の除外並びに不要になる許可・承認←New!
これまでは(1)と(2)の内容だけしか航空法では定められていなかったのですが、新たにドローン等の飛行規制が一部緩和されました。緩和された内容は2つあり、2021年9月24日に公布・施行されました。
ただし、⑤〜⑩の飛行方法を逸したい場合は、国土交通大臣の承認を受けることによって可能になります。
出典:国土交通省
(3)飛行禁止空域の除外並びに不要になる許可・承認
これまでは(1)と(2)の内容だけしか航空法では定められていなかったのですが、新たにドローン等の飛行規制が一部緩和されました。緩和された内容は2つあり、2021年9月24日に公布・施行されました。
①ドローン等の飛行禁止空域の緩和
出典:国土交通省
煙突や鉄塔などの高層の構造物の周辺は、航空機の飛行が想定されないことから、地表又は水面から 150m以上の空域であっても、物件から30m以内の空域については、飛行禁止空域から除外されるようになりました。
ただし、空港等の周辺の空域及び緊急用務空域については、物件から30m 以内であっても許可を得ないと飛行させることができません。また、人口集中地区にかかるようであれば、その上空を飛行させるための認証が必要です。
②ドローン等の飛行にかかわる許可・承認の見直し
出典:国土交通省
十分な強度を有する紐等(30m以内)で係留した飛行で、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を行えば以下の許可・承認が不要になります。
・人口密集地上空における飛行
・夜間飛行
・目視外飛行
・第三者から30m以内の飛行
・物件投下
航空法に違反すると
無人航空機を飛行させる際の基本的なルールが定められている航空法に違反した場合には、50 万円以下の罰金(飲酒時の飛行は1年以下の懲役又は 30 万以下の罰金)が課されることがあります。
編集後記
次回からは、航空法以外の法律やルールについて4回にわけてお話していきたいと考えています。
航空法以外の法律やルール↓
1. 小型無人機飛行禁止法
2. 電波法
3. 民法
4. 条例
それぞれの法律が示している詳しい内容をしっかりと知ることによって、安全なドローンの運用ができるように心がけましょう!